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(最終更新:2022年11月21日)
医師監修の対話に関して説明した記事のアイキャッチ画像です

【医師監修】対話とは?会話との違いや必要な理由を徹底的に解説します

近年、精神医療の分野で重要視されているコミュニケーション手法として、「対話」があります。 対話をすることで、他人はもちろん、自分自身が気付いていなかった無意識の考えなどにたどり着くことが期待できます。 このページでは、「そもそも対話って何?」という疑問について、網羅的に解説しています。 対話とは何たるかを知り、今後に活かしていきたい人は必見の内容です。

対話は「信頼関係を築くためのコミュニケーション」のこと

対話とは、辞書上は直接向かい合って互いに話をすること、ですが、その目的は、お互いに信頼関係を築くためにあります。

お互いの立場や意見などを提示し、双方に生じるズレを理解しあいます。

大切なことは、「考えや価値観などを押し付けること」は対話ではないということです。

お互いが話す内容の理解に努め、協調的な話し合いを進めていくことで、相互理解を実現することができます。

また、対話を通して相手とのつながりがより安心安全になることで、精神症状の改善を期待することができ、医療の場面だけでなく、多方面で活用されつつあるコミュニケーション手段です。

対話と会話の違いは、「話す内容と目的」

対話と会話の違いは、話す内容と目的にあります。 会話はとりとめのない話なども含まれるのに対して、対話はあくまで信頼関係を築くためのコミュニケーションです。

相互理解を進めることが目的とされるコミュニケーションなのであれば対話、それ以外のなんでもないコミュニケーションをとる場合は会話、と分類されます。

会話は双方の信頼関係がなく、関係の構築を目的としていなくても成立しますが、対話は関係構築を念頭に置いたコミュニケーションであるといえます。

対話をすることで実現する3つのこと

対話をすることで実現することは、主に以下の3つです。

  • 相手の価値観を理解できる
  • 相手とのつながりが感じられる
  • 自分の考えを深められる

対話をすると、お互いの状況や考えを共有することができ、対話の相手をより深く理解することに繋がります。

また、理解は他人だけにとどまりません。 対話は自分自身を理解することにもつながります。

自他ともに理解を深めることができ、相手とのつながりを感じられるのは、対話をする上での大きなメリットであるといえるでしょう。

相手の価値観を理解できる

相手の価値観を理解できることは、対話をすることで実現するポイントの1つです。

それぞれの話し手の中で大事にしている価値観や考え方の優先度が違うと、コミュニケーションは円滑に進みません。

コミュニケーションを円滑に進めるためには、相手の価値観を少しでも理解していくことが大切です。

その手段として効果的なのが、「信頼関係を築くためのコミュニケーション」である、対話なのです。

対話を通して相手の考え方や価値観を理解しあうことができれば、より良い対人関係の構築につながります。

相手とのつながりが感じられる

相手とのつながりが感じられることも、対話をする上で実現するメリットです。

新型コロナウイルス(COVID-19)が流行してから対面でのやりとりが少なくなったことで、人とのつながりを感じられず、寂しい気持ちを抱える方が多くなり、深刻な問題となっています。

そんな中、コミュニケーションの活性化を促す「対話」は、相手とのつながりが感じられる方法のひとつとして注目されつつあります。

自分の考えを深められる

自分の考えを深められることも、対話をすることで実現するメリットです。

対話は自分の価値観や考えを開示し、共有していきます。

そして、対話を重ねれば重ねるほど、周りの価値観に触れることで、自分の価値観や考え方に、しっくり来る言葉がみつかったり、考えの幅が広がったりして、より深まっていきます。

相手との対話をすることで自分の考えを深めることができれば、自分自身を確立し、生きづらさを解消することも期待できるでしょう。

対話が必要な4つの理由

対話が必要な理由は、主に4つです。

  • 習慣や文化の違いがあるから
  • 個人の考えや意識は常に変化するから
  • それぞれに置かれた場所が違うから
  • それぞれが持っている欲求や感情が違うから

対話が必要とされる理由は、主に「変化」や「違い」があるからです。

それらを共有することで、理解しあい、つながりを構築するために、対話が必要とされます。

ここからは、対話が必要とされる理由を4つ解説します。

習慣や文化の違いがあるから

習慣や文化の違いがあることは、対話が必要とされる理由のひとつです。

習慣や文化の違いは、人の価値観や考え方の形成に大きな影響を与えます。

そして、習慣や文化の違いはあっていいし、むしろ興味深いものです。欧米では、異なる背景や価値観を持っていることは当然という文化があります。

しかし、日本では戦後から、「先輩の背中を追う」「上司の意図を察して動く」などといった、社会と同一の価値観を良しとする文化が一般的です。

世界で多様性が尊重されてきている中、日本だけがこのままである必要はないですし、国内では着々と多様性の価値観を受け入れ始めています。

文化や価値観の違いを理解するために対話をすることで、多様性を受け入れる効果的な方法となるのです。

個人の考えや意識は常に変化するから

個人の考えや意識は常に変化することも、対話が必要とされる理由の一つです。

特に個人の意識に関しては、本人も自覚していない部分も多くあります。

知らず知らずのうちに変化していく意識を完全に自分で把握することは難しく、ましてや他人が把握することは困難を極めます。

そこで必要になってくるのが対話です。

対話をすることで相手のことを理解するとともに、自分自身の意識と向き合うことで、無意識に考えていた価値観や考えにたどり着くこともあります。

それぞれに置かれた立場が違うから

それぞれに置かれた立場が違うことも、対話が必要とされる理由の一つです。

人にはそれぞれ立場があり、人は無意識に「その立場の人間」として物事を判断し、発言します。

対話は相手の価値観を知っていくことで、相手の立場を自分ごととして理解し、相手の価値観や考えがどうしてでてきたかを理解することにつながります。

それぞれが持っている欲求や感情が違うから

それぞれが持っている欲求や感情が違うことも、対話が必要な理由の一つです。

同じ問題や状況に直面したとしても、その時に抱く感情や欲求は人それぞれです。

人がどのような感情を抱くのかをコントロールすることはできません。

そのため、その人がどのような欲求や感情を抱いているのかを知ることが、相手を理解することにつながります。

対話が必要とされるのは、主にこれら4つの理由があります。

対話の土台となる5つのポイント

対話の土台となるポイントは、主に5つです。

  • 個人の価値観を否定しない
  • 自分を外在化する
  • お互いを尊重する
  • 解釈のズレを解消する
  • 対話相手の話を最後まで聴く

対話をするときに重要なのは、相手に自分の価値を押しつけないことです。

ここからは、対話をするときに意識したいポイントを5つ解説していきます。

個人の価値観を否定しない

個人の価値観を否定しないことは、対話をする際に重要なポイントです。

対話相手の価値観が自分とは真逆のものであったとしても、否定せずにいったん受け止めます。

その人にとってその価値観が正しいと考えているのであれば、それをまずは尊重します。

ただ、必ずしもその価値観に賛同する必要はありません。

あくまで自分自身の価値観を大切にしながらも、対話相手の価値観も否定せず、大切にするようにしましょう。

自分を外在化する

自分を客観的に見ることも、対話をする上で意識するべきポイントの1つです。

直面している状況や問題を自分から切り離して客観的に見たり考えたりすることでわかることも多くあります。

これを「外在化」と呼びます。

自分の感情と考えるべき問題を切り離してみることで、その状況について話しやすくなることがあります。

直面している状況や問題は自分の感情ありきのものですが、感情と事実を切り離すことも、対話を進めるにあたって重要になってきます。

お互いを尊重する

対話をするときに重要なのは、お互いを尊重する気持ちを忘れないことです。

人にはそれぞれの人生で培ってきた経験や価値観があります。

それを尊重せずに良い悪いで判断することはあってはなりません。

「この人はこんな価値観を持っている」ということを理解し、その背景も含めて尊重することで、その人と進める対話は良い方向に向かうでしょう。

認識のズレを減らす

お互いに理解できるまで言葉を重ねることで、認識のすり合わせをおこなうことは、対話を行う上で重要なポイントとなります。

認識のズレが生じているうちは、良い対話ができているとはいえません。

最終的に相手が伝えたいことをきちんと理解していなければ、その対話は成功とはいえないでしょう。

対話を有効に進めるのであれば、認識のズレはできる限り減らす姿勢で対話しましょう。

対話相手の話を最後まで聴く

相手の話を最後まで聴くことも、重要なポイントです。

対話中は、相手の話を途中で切らず、最後まで聴くようにしましょう。

話を聞いている間に新しい疑問や質問が生まれても、その話が終わることを待つのがマナーです。

対話は自分と相手の話が交互に展開されるため、片方が話しきるまでしっかりと聞いておくことが大切です。

自分の主張を押し付けるだけでは対話とは言いません。

自分の意見は相手の話を最後まで聴いてから話しましょう。

対話と似た意味を持つ類語

対話と似た意味を持つ類語は、先ほど紹介した「会話」の他にもあります。 ここでは、以下の3つの類語の意味を紹介します。

  • 協議
  • 対談
  • 談話

協議は「複数人が集まり、相談をする」こと

「協議」は、複数人が集まって相談すること、という意味があります。

「力を合わせる」「話し合ってまとめる」という意味合いを持つ「協」という字と、相談や意見といった意味合いを持つ「議」という時の組み合わせです。

話し合うというよりも、なにかを決めるために相談をするという意味合いが強い言葉です。

対談は「共通のテーマについて向き合って話す」こと

「対談」は、共通のテーマについて向き合って話す、という意味があります。

基本的に2人でおこなわれ、3人での話し合いは「鼎談」、4人以上の複数人の場合は「座談会」と称されます。

意味合いとしては「対話」と似ていますが、決まったテーマについてしっかり話し合うというニュアンスが強くなるのが「対談」です。

談話は「形式にとらわれずに話をする」こと

「談話」は、形式にとらわれずに話をする、という意味があります。

形式ばらずにゆったりと話すという意味合いが強いのが特徴です。

きちんと向き合って相手の話を聴いたり、価値観の共有をしたりする対話とは違い、目的を持たずにゆったりと話し合いをするというニュアンスを持ちます。

対話はメンタルケアに有効なコミュニケーション

対話とは、複数人で向かい合って話し合い、相手の意見や価値観、考え方などを理解することで信頼関係を築くためのコミュニケーションです。

多様性が認められつつあるこの時代において、今後も重要性を増していくコミュニケーション手段となるでしょう。

ビジネスでもプライベートでも、対話の重要性を知ることで、自分自身や他人について理解し、信頼関係を築いていくことができるでしょう。

また、対話はメンタルケアにも効果を期待できるコミュニケーションです。

対話を重ねることで、自己理解を深めるとともに、相手と信頼関係を構築することによる安心感が、参加者全体のメンタルにいい影響を与えることでしょう。

ぜひ日常に対話を取り入れてみませんか。この記事がきっかけになると嬉しいです。

この記事を監修した人

前田佳宏
和クリニック院長 / 東大医局所属

愛着障害、HSP、トラウマを中心に、つながりをケアする医師。欧米で最先端のイメージと感覚を扱う治療を応用し、健常者の健康をより高める技法を実証中。しなやかなこころを育てるコーチングオンラインサロン「しなここラボ」、価値を押しつけず問いを深めあう哲学対話「ゲーテカフェ」の主催。メンタルに役立つ勉強会や情報発信もしています。

【Twitter】
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【自己紹介note】
https://note.com/littleringed/n/ne7664dcba498

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