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(最終更新:2022年08月22日)
HSPが不登校の原因に?子どもが学校に行かない原因と対処法を解説

HSPが不登校の原因に?子どもが学校に行かない原因と対処法を解説

「HSP」という言葉をこのごろメディアで耳にすることが多くなってきました。複数の有名人が「自分はHSPだ」と言って話題になったり、時にSNSが炎上したりすることもあります。 そこで、まず、HSPとは何なのかについて簡単にご説明しようと思います。 HSPとは、Highly Sensitive Person(特に敏感な人)の頭文字を取ったもので、心理学者のエレイン・アーロンが提唱したものです。つまり、これは精神医学上の言葉ではなく、心理学上の言葉だと言うことができます。 HSPを、簡単に言うと、人一倍感受性が強く、敏感で傷つきやすい人のことです。 アーロンによると、HSPにはこのような特徴があるそうです。

  • ①:ていねいで深い情報処理を行う
  • ②:過剰に刺激を受けやすい
  • ③:感情の反応が強く、特に共感力が高い
  • ④:ささいな刺激にも反応する
なお、HSPは最近日本では「繊細さん」と呼ばれることもあります。

不登校の子どもに多いのは「HSC」

HSCとはいったい何なのでしょうか。

HSCとは、Highly Sensitive Childの略で「特に敏感な子ども」と訳されます。

HSPとの違いは、パーソンとチャイルド、大人と子どもの違いだけです。

しかし、大人のHSPに問題があるように、HSCの子どもにはまた子どもならではの問題があります。

最近問題になっているのは、不登校になっている子どもの中に、HSCが多いといわれていることです。

HSCは病気ではない

ここでまず、どうしても知っていただきたいのは「HSCは病気ではない」ということです。強いて言えば「気質」です。

生まれ持った性格と同じように、繊細さの気質を強く持った子どものことを、HSCと呼びます。

病気ではないので、薬などで治すことはできません。

それに、無理に「治さなければいけないんだ」と当事者とその家族が考えることはかえってマイナスになりかねません。

感性の鋭さや共感力など、HSCには良い点もたくさんあるのです。

その上で、HSCのつらいところを見ていきましょう。

5人に1人がHSCの気質を持っている

世界的に見て、5人に1人がHSPと言われています。HSCも同じくらいいることになります。HSCの子どもは意外に多いのです。

では、HSCとは子どもにとってどのような気質なのでしょう。

先に述べたHSPとほぼ同じなのですが、年齢的な問題として学校でうまくやっていけない傾向があります。とにかく敏感で、人の顔色を過剰にうかがってしまい、内気になってしまいがちだからです。

一方で、HSCの子どもは共感力が高い、感性が鋭いといった、日常生活でうまく使えば力となる、優れた能力も併せ持っています。

原因がわからない不登校はHSCが原因かも

一般的に、いじめ、学校が面白くない、教師との相性の悪さなど、不登校になるには何らかの理由があることが多いですが、HSCの子どもには理由らしい理由がなくて不登校になる場合があります。

なぜだか自分にもわからないけれど、どうしても学校に足が向かないとか、家の方がずっと落ち着く、本来の自分でいられるとかいった理由です。

これは、気まぐれやわがままなどではなく、HSCの特徴によるものなのです。その、HSCの特徴はどんなものか見ていきましょう。

HSCを持つ子どもの特徴

HSCである子どもの特徴はどんなものが挙げられるでしょうか。

ここで、HSCの子どもの特徴の、主なものをいくつか挙げてみます。

  • 集団での生活が苦手
  • しつけの影響を受けやすい

集団での生活が苦手

HSCは、刺激が多い状況を苦手とします。ですから、学校の集団生活には不向きな子どもが多いのです。

このことから、学校に足が向かなくなって、不登校につながることがあります。

手のかからない子に育ちやすい

HSCは親の言うことに反抗することが苦手なので、親の言うことにすぐ従ったり、反抗期がみられかったり、一見「育てやすい」「手のかからない」子どもに見えるのですが、子どもの内心は疲れ果てていることが多く、複雑です。

手のかからない子どもが、ある日突然不登校になったように見えて親たちは驚くのですが、子どもの内面では「もうこれ以上学校には耐えられない」というふうに、つらさが限界に達しているのです。

しつけの影響を受けやすい

人の言うことを受け流すことが難しいので、HSCは親のしつけをそのまま受け入れがちです。

一般的には反抗期などで親の言うことに、時には反発し、自分の責任や意思で動くことを学ぶのですが、HSCの子どもにはそれは途方もなく難しいことなのです。

HSCが不登校につながる理由

HSCが不登校につながる理由は必ずしも一つではありません。

そのいくつかを挙げてみます。

  • すべての事柄を真面目に受け止めすぎてしまう
  • 無理に周りに合わせることで疲れてしまう
  • 学校は五感への刺激が多い場所だから
  • 褒めることで自己肯定感を伸ばす

すべての事柄を真面目に受け止めすぎてしまう

HSCは、人の冗談とか思いつきさえも真面目に受け取ってしまいます。そして、それにいちいち真面目に対応しなければと思ってしまい、自分の心のキャパシティを超えてしまいます。
それが、場合によっては、不登校につながることもあります。

自分に厳しくなってしまう

自分がHSCだと知らなければ、自分の特性を「自分は弱い人間だ」「人の目ばかりに気にしている」「すぐ空想にふけってしまう」「気の持ちようなのに、自分にはどうしてできないんだ」などと思い悩んでしまい、ついには「自分が弱いのがいけないんだ」と自分をひどく責めてしまいます。

過剰に周りに気を遣ってしまい、自分に対しては厳しくなってしまいます。

自分を好きになり、自分を認めてあげ、HSCであることを受け入れることで、HSCは生きやすくなっていきます。

無理に周りに合わせることで疲れてしまう

HPCの子どもは自分の気持ちを抑えて周りに合わせようとしがちです。

人の心を敏感に察知し、自分の気持ちを押し隠してでも、周りの「空気」を読んで振る舞うことが、HPCの子どもにはよくみられます。

学校にいる長い時間ずっとこの状態でいたら、気持ちが疲れ果ててしまうことが、HPCでない人にも理解できるでしょう。

これでは、学校に行きたくなくなるのも無理はありません。

学校は五感への刺激が多い場所だから

多くの学校は人がいっぱいいて、その上叫んだり走り回ったりする他の子ども、それを怒る先生、クラスや部活の人間関係、さらには遠足や修学旅行の知らない場所での濃い人付き合い。

学校はHPCにとって非常に刺激の強い場所です。

この刺激をHPCの子どもは負担に思うのです。

場合によっては服の布地の質感がストレスになるというHPCもいますし、学校にストレッサーはいくつもあります。

五感が極めて鋭い気質をもつHSCの子どもにとっては、学校は非常にストレスフルな環境だといえます。

しかも、月曜から金曜まで通わなければなりません。

繊細なHSCは心底疲弊しきって、家で休みたいと思うのも無理はないことです。

不登校に近づくHSCの子どもに親がとるべき対処法

そんな繊細なHSCの子どもが不登校になろうとしているのに気づいたとき、親としてはまず止めたくなるものです。

まずは学校に行ってほしい、それは一般的な親なら普通に考えることですが、あまり追い詰めすぎると、今度は子どもの逃げ場をなくしてしまいます。

HSCの特性を知って、子どもが暮らしやすくするように配慮することが大事です。

可能な限り、学校の理解が得られないか話し合ってみるのも大事です。

例えば、HSCの子どもにとって周りの音がうるさいとき、耳当てをつけるのを許可してもらえないか、といったことです。

たとえ上手くいかなくても、自分の敏感さを理解し、自分のために奔走してくれる親の存在は、HSCの子どもの心を軽く、前向きにしてくれます。

褒めることで自己肯定感を伸ばす

褒めてもらうと伸びるのが、HSCの特徴の一つです。

怒られることは自分の人格そのものを否定されていると思いがちなHSCにとって、褒められて、自分が自分でいていいんだ、と自分を認められることは非常に重要なことです。

HSCの子どもは、自分が褒められ、人格を認められることで、自己肯定感を得ることが出来るのです。

頭ごなしに叱らない

一方的に叱られることで、HSCの子どもは「自分はダメな人間だ」と、自分の人格まで全否定してしまい、普通の子供よりもっと深く傷つき、心を固く閉ざしてしまいます。

頭ごなしに叱りつける前に、まず、一息置いて、落ち着いて、感情的にならないようにしながら、どうしても言うべきことだけを静かに伝えることが大事です。

子どものHSCを一緒に受け入れる

自分の最大の悩みを一緒に受け入れると言ってくれ、実行してくれる存在は、HSCでなくても心強いものです。

もちろん、親がHSPでない場合、HSCを完全に理解できるかといえばそうではありません。

でも、本やネットで調べたり、子どもの話をよく聞いて、子どもがHSCであることを受け入れたりしていくことは可能だと思います。

味方であることを伝える

もし子どもの心が閉じていても、親である自分は味方だというメッセージを送り続けることが大事です。

「あなたが悪いんじゃないよ、そういう気質なんだよ」

そうした心からの言葉が、自分を理解してくれている親だという思いを生み、信頼関係を生みます。

もちろん、繊細なHSCに投げかけてはいけない言葉もあります。

例えば、「いちいち細かいことを言わないで」などがそれに当たります。

これはHSCにとっては、言葉のうえだけでなく、人格そのものへの攻撃に受け取られてしまいます。自分に完全に自信を失い、心を閉ざしてしまう原因にもなります。

親として出来ることは、子どものHSCの心を理解し、共感することです。

無理をしていないか注意して見守る

HSCの子どもは気を使うあまり無理をしがちです。

無理が続くと、心が疲れ果ててしまい、学校に行く気力など無くなってしまいます。子どもの様子におかしい点はないか、気を使わなくていいところまで気を使ってはいないか、しっかりと注意します。

しかし、親が先回って動いてばかりいてはいけません。子どもが自分で問題を解決できるよう、時には子どもをそっと見守ることも必要なのです。

HSPについて深く理解する

「うちの子どもは、本当にHSCなのか? 違うのか?」と疑問を持つ時もあるでしょう。

HSCは病気ではありませんから、HSCについて、まずはネットや本などで調べるのがいいでしょう。ただ、ネットの情報は玉石混交です。中には間違った情報もあるので、気をつけてください。

特に「HSP診断」のような、いくつかの自分が当てはまる選択肢を選んで簡易的にHSP/HSCであるか診断するものは、ネット上でよく見られますが、専門家が見ると、実は間違いが多いといいます。

病気ではないといえ、当事者が学校生活を送る上でとても困っている場合、スクールカウンセラーや思春期外来に相談するのも良いことです。

家族の外側から専門家の意見をもらえることから、HSCに対する理解が深まり、問題解決にもつながりやすいです。

もちろん、ここで無理強いは良くありません。あくまで、提案するのです。

その提案でさえ「自分が自己管理できないから、こんなことを言われるんだ……」と捉えてしまう敏感なHSCの子どももいることを付け加えておきます。

不登校の子どもにとって、親の理解はとても大事

HSCのために不登校になったり、今まさに不登校になろうとしている子供たちは、決してわがままを言ったり、反抗的になったりしてそうしているのではありません。

繰り返しますが、HSCは「気質」です。自分を、その気質を含めて丸ごと認めて欲しい、とHSCの子どもは(表には出さなくとも)願っています。

しかし、それは自分の甘えだと思ったり、自分がわがままなのが良くないと思ったり、周りに気を遣ったりしても、そのことを上手に訴えられないのです。

親がHSCやHSPについてよく理解し、共感することで子どもの心は癒され、学校へ行く気力や勇気が湧いてきます。

家族など、身近に理解者がいて、周りの人との対応について相談できることで、再び学校へ行けるかもしれません。焦りすぎず、感情的になり過ぎず、子どものHSCをよく理解することが大事です。

HSCの今、そして将来、理想的なのは、うまく繊細な気質と付き合っていくことでしょう。

後になって自分の気質を振り返ってみて、「自分が繊細で(HSCで)よかった」という人もいます。

自分の気質を強みに変えて、空想好きなことや、好きなことへ向ける繊細さを人生に活かせるようになったのです。

職業で言うと、クリエイティブ系の仕事に就く人に比較的多いようです。

HSCの子どもや親、家族らが、HSCと共にある人生を前向きに謳歌できるよう、心から願っております。

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